

1. 1+1=1。
2. 歌に憧れてる。
3. 練習って、なかなかいいもんやな。
4. 刺激を受けるから創れる。
5. 痛みを味わいながら「素の自分」で勝負したい。
刺激を受けるから創れる。
──最近はサンバもされていらっしゃいますよね。
くばく サンバ界隈の人たちは深いブラジルを知っていそうで興味があったんですけど、なかなか踏みこめなかったんです。まだ当時北白川にあった VIVA LA MUSICA! のサンバ(現在の出町サンバ)にも行ったことがあったけど、濃すぎて入れなくて(笑)。
2022年の秋にたまたま関わったイベントがきっかけで、サンバ関係の人と縁ができてからですよね、足を踏み入れるようになったのは。2025年の夏にはまっさんと橋本さん(バイトと社長)とライブもさせてもらって、サンバの曲も少しですが覚えることができました。
──ブラジル音楽ひとつとってもジャンルを横断してコミュニティに参加したり、ライブをされたり。ご自身の興味に従いながら、いろんな方とつながりを持たれている印象を受けています。
くばく たまたま知り合ってもらって、ちょっとずつです。ぼくはそんなにパワフルではなくて。パゴーヂでもホーダ・ヂ・ショーロでも、どこに参加するにも緊張しながら行っています。でも、ぼくはいい音楽が好きなんですよね。だから親しい仲間と一緒にいるのも楽しいですが、知らない人が多くてもいい音楽に触れられる場を選びがちではあります。その意味で、ジャンルもあまり問わないし、音楽そのものにかっこよさや楽しさを感じられる場がいいなと。
──「いいな」と思う音楽があったら、もうそっちに行きたい。
くばく この歳になって知らない人ばかりのところに飛び込んだり、自分ができない音楽の場に行ったりするのはしんどいときもありますが(笑)。でも、ちょっとでも自分にとって楽しい刺激になるようなことをしたいし、そういう表現を聴きたいっていうのはめちゃめちゃあります。
──刺激への欲求みたいなものがあるから、少し自分にとってストレスを感じる場面にも飛び込んじゃうんですね。

──ブラジル音楽のコミュニティに関わりながら、ご自身ではブラジル音楽に日本語歌詞をつけて演奏するということもされていますよね。
くばく そうですね。ボサノバって日本語の歌詞がフィットしそうな感じがするなぁと思ったんですよね。あとは、自分が今ポルトガル語で歌っても説得力がないから、意味が理解できる日本語の方がいいかなという理由もあってやってます。
──どういうふうに歌詞をつけているんですか?
くばく いろいろ考えながらですかね。できるだけ元のポルトガル語の意味を変えないようにすることもあれば、ポルトガル語の音の響きを活かした日本語にすることもあったり。うまくはまらないことも多いですけどね。
「Desde que o samba é samba」だと、「A tristeza é senhora」から、「あきまへんわ、悲しみが/世界の主になったんだ/さっぱり外出もできひんようになって/真っ暗な夜の道、涙が光る」って関西弁も交えてコロナ禍のロックダウンのときに作ってみたけど、あんまりはまらないですよね。「ダサいからやめて」と言われました(笑)。
「Desafinado」は、「おじはボサボサの頭でそば食った/おばはサバサバした顔でタラレバ言った/どうせ言ったとこでだらしなさ変わらねえし/おじはボサボサのままそば食い続けた」という遊びっぽい歌詞で。音には合っているけど、これまたかっこよくない(笑)。
──個人的には「Desafinado」のこの感じ、すごい好きですけどね(笑)。
──カバーではなく、ご自身で作詞作曲もされていますよね。
くばく 高校生くらいのときからオリジナル曲を作ってますね。
──高校生からというと、かなり長いですよね。オリジナルを作るというのが、ご自身にとって大事な軸なのでしょうか。
くばく 大事な軸、いい表現ですね。たしかに好きでやってますね。言葉が好きですし、言葉と音が密接に繋がっていて、「1+1=1」じゃないですけど、言葉と音とどっちから作ったかわからないような歌があったらいいなと思ってます。
──くばくさんの歌を聴いていると、言葉遊びを楽しむような歌から、歌詞からなにか伝わってくるような歌、情景の描写が鮮やかな曲まですごく多様だなと。いつもどんなふうに作っていらっしゃるのかなと思っていました。
くばく とくに決まった作り方はなくて、けっこう迷いながらやってますけどね。パッと浮かぶときもあるし、そうでないときもある。運転してるときはよく出てくるかな。部分的にライブ中に即興で作って演奏するみたいなものもあるし。「二日酔いパンデイロ」って曲は、ワイン飲み過ぎて二日酔いになったから作った、とかね。ワインってこんなにくるものか…と(笑)。
くばく あと、だれかのライブを観て影響を受けて作ることもあるかな。「しろくまのこい」は、マホッピダという左京区バンドのライブを観たのがきっかけでできた曲なんですよね。すごく手作り感のある音楽を演奏されていたのがいいなぁと思って、帰ってから興奮して朝までずっといろんな曲を作ってできあがったのが、「しろくまのこい」だった。
くばく ほかにも、ロバの音楽座という合奏団のクリスマスライブを観てできたのが「せつめい」って曲ですね。彼らのパフォーマンスは基本的には子ども向けのもので、ロバハウスっていうジブリに出てくる家みたいな、かわいらしいライブハウスで上演するんですよ。ぼくは2階席から見せてもらったんだけど、1階席で聞いてた子どもたちが「ハーメルンの笛吹き男」みたいに音楽にみるみる引き込まれていくのが目に見えて、びっくりしたの。「あんなん作れたらいいなぁ」と思って、帰りの車の中で鼻歌しながら作ったのが「せつめい」でしたね。
そうやって刺激があったり憧れを持つ機会があったときに、「こんなふうに作りたい!」って思って作ることは多いですよね。
──いい音楽を求めて意識的にご自身で動かれながら、他方では外からの刺激を受けとめることがくばくさんを次の創造に突き動かしているんですね。
くばく まさしく。すぐに影響されますね(笑)。
