

1. 「自分で作れるかも。」
2. ブラジル打楽器を作る仕事
3. ”らしさ”を織り込む
4. ずっと、「あ、できた。」を楽しみに
5. パンデイロの発展
”らしさ”を織り込む
──これまでカポエイラやサンバ、そして楽器作りをされるなかで、坂東さんにとってブラジル文化や音楽について、どういうところがおもしろいと感じてこられましたか?
ばんどう ブラジルはね、けっこう日本との交流があるというか、日本にブラジル人も多いから、交流できたりするおもしろさはあるよね、やっぱり。一緒にカポエイラもやってたし。京都でやってると滋賀から来たり、ぼくらもね、滋賀のグループの練習に行ったりしてたから。
──いろんなブラジルの音楽や文化を通して交流できるのはすごく貴重な機会だとわたしも思います。カポエイラには流派がありますが、坂東さんはなにをされていたんですか?
ばんどう ぼくはね、カポエイラ・ヘジオナウ。動きがちょっと激しくて、ストレートな動きでパンパンとテンポよくやるやつ。
ぼくが昔習ってたブラジル人の先生は、カポエイラ・ヘジオナウとカポエイラ・アンゴーラ両方やる人でね。だから、一応アンゴーラも練習してたよ。いろんな考えの人がいて、「カポエイラはヘジオナウもアンゴーラもそんな区別するもんじゃないんだ」って言って両方ともやる人がいれば、ヘジオナウならヘジオナウのみ、アンゴーラならアンゴーラのみやる人もいるんよ。
──人によってそれぞれ考え方があるんですね。

ばんどう ほかにブラジル音楽のおもしろいとこやと、ブラジルのリズムとかって、ルーズで適当なのか、それともきっちりしてるのか、よくわからへんとこがあるやんか。そういうのは、わりと性に合ってたって思うなぁ。ブラジルに住んだことはないけど、旅行で行く分には気質も合うし。
それは楽器作りでも思ったね。
──楽器作りでも?
ばんどう 自分で楽器を作り出したあと、もう1回バイーアに行ったときには、いろんな工房を見学して打楽器を作ってる様子を見てまわったんだけど、そのときに、「なんかすごい適当に作ってるなぁ」っていう印象が強かって。
たとえば、アタバキなんかは細い木を組み合わせて胴体を作っていくんやけど、その木の幅をきちんと測っていないんちゃうかな、けっこうまちまち。だから、最後は無理やり形にしてるっていう感じ。ピッチを正確に合わせるとかしてなくて、そういうことに関してすごいルーズやなっていうのはね、けっこうびっくりしたけどね。
──緻密さとか精巧さみたいのが、意外となかった。
ばんどう でも、楽器自体がそんなにいい音しなくても、プレーヤーがリズム感でいい演奏にしてしまうというか、そういう強引さみたいなのがあるやんか。それはすごいなと思ったけどね。
──演奏者の腕に任せちゃう。
ばんどう あるものでそれなりにやってしまう力、というのがね。
──「楽器の質に頼らない」という感じですかね。たしかに、ブラジルの動画を観ていると、お皿の裏を棒で叩いていたり、そのへんに置いてある缶を鳴らしていたりしています。
ばんどう これなんか、炊飯器の釜とネジで作ったんやけど。昔の炊飯器はこんなアルミの釜で炊いたんよね。家の解体現場から拾ってきたんやけど、ちょうどええんよ、このサイズ。で、ほら、軽いやんか。こんなんでも、けっこうすごい演奏するからね。
実際に目の前で叩いてくださった。とても軽やかな響き。
──わりと簡単なつくりのもので、ブラジルでは立派に楽器として鳴らしてしまう。
ばんどう あるものでなんでもできるっていうか。だから、自分でパンデイロやいろいろ楽器を作るときも、あんまりきっちり作りすぎないようにっていうのは、いつも考えてやってるんやけどね。一応ブラジル楽器やと思って作ってるので、あまりにもこうね、日本人気質的にピッとやると、なんか違うものになってしまう感じがするから。
まあそれはね、ぼくももともとちょっとルーズなとこあるから、性格が。だからそのへんはちょっと適当なとこがあって、まあそれがええんちゃうかな、とは思ってるんやけどね。
──ちゃんとブラジル楽器をブラジル楽器のように作る。手抜きはしないけど、繊細に作り込みすぎないというか。
ばんどう やりすぎると、やっぱりちょっとね、逆にダメになるね。叩いてるときにバーっとぶっ壊れるとか、そんなんはダメだけど、そういうところだけきっちり押さえておいて、あとはちょっとルーズなとこも残しとく、っていうかね。
──ブラジル楽器の「らしさ」まで織り込まれている、職人としての工夫とこだわりに、ただ、唸らされます。
