「広がれ、パンデイロ!」まだ見ぬリズムの先で、一打を遊び尽くす喜びを

1. 「自分で作れるかも。」
2. ブラジル打楽器を作る仕事
3. ”らしさ”を織り込む
4. ずっと、「あ、できた。」を楽しみに
5. パンデイロの発展

ブラジル打楽器を作る仕事

──最初はご自宅で作業されていたんですか?


ばんどう 自宅にちっちゃい裏庭があったから、そこで作業してて。そのあと、もともと立命館大学の学生用のアパートだったところで、部屋を3つくらい借りて工房にしてね。ちょうど山の斜面にいくつも建物が立ってるのが、ブラジルのファベーラみたいで。

そこから、7年前くらいにここに来たね。


──木工をされていたご経験があったから、打楽器を作るにあたっての土台をお持ちだったんですね。


ばんどう ほかにも、撮影所の大道具やったり、大工やったり、けっこう職人系の仕事をやってたからね。溶接とかも多少はできるし。

それまでいろいろやってきたことや覚えたことを寄せ集めて、楽器を作ることに役立てられるなと思ってね。

ものづくりって、基本的には毎日同じことをずっと一人でやるわけやから、「できるな」と感じる人と「苦手やな」と感じる人といると思うけど、ぼくはこれまでやってきた仕事がわりと自分の手を動かしてなにかを作るってことやったから、抵抗感はなかったね。


──わたしは自分の手でものを作るという経験が本当にないので、坂東さんが「自分で作れるかも」と思って実際に作られたというのが、もう自分の理解を超えてしまっています。しかも、本当にコツコツ毎日作っていかれるものですからね。

工房にひしめく木枠や皮、工具たち


──楽器を作り始めて、どのくらいになるのでしょうか?


ばんどう 2006年に最初のパンデイロができて、その翌年から注文を受けて作り始めたから、もう20年くらいやね。最初は大工の仕事とかもやりながら、合間にパンデイロを作ってたんだけどね。


──パンデイロ以外にも、本当にたくさんの種類のブラジル打楽器を作っていらっしゃいますよね。


ばんどうさん 一応、ブラジル楽器は一通り作ってみようと思ったからね。パンデイロはすごいよく売れるからつねに作ってるんやけど、それ以外の楽器は、たまにしか注文来なくて。だから、作り方を思い出したりするのがけっこう大変だったりするね。

たとえば、マラカトゥで使うアウファイアだと、注文は半年に1回あるかないか。でもペルクサンガを10年くらいはやってるから、アウファイアだけでも合計20台くらいは作ってると思う。

──パンデイロは日々どのくらいの台数を作られているんですか?


ばんどう それはもう注文状況に応じてやね。月3台くらいしか注文がないときもあるし、10〜15台まとめてパッと来るときもあるし。1個作るのに、最低でも1週間はかかるかな。ボンドでくっつけて乾かしたりする工程もあるからね。

パンデイロはね、ブラジル音楽をやっている人でなくても手をつける人がけっこう多いからね。パーカッションをやってる人やったら、だいたいの人はパンデイロに興味持つから。ものが小さいし、気軽やし。それでいて、簡単そうやけどなかなかマスターできないっていうね。


──本当に、すごく奥深い楽器だと思います。パンデイロをお持ちになって、出町サンバにもいらっしゃっていますよね。


ばんどう VIVA LA MUSICA! の店ができるときに、縁あって内装工事を手伝ったのが最初。だからもう店ができたときから出入りはしてて。そうしてるうちに、パゴーヂも始まってね。それからはずっとちょくちょく顔を出して。

サンバはね、もともとはそんなに好きではなかったんよ。バイーアの音楽が好きやって、サンバとかボサノバとかはいろいろある音楽の一つとして聴いてる感じで。だから、サンバはパゴージをやり始めてからちゃんと聴くようになってね。

それまでパンデイロは、カポエイラで使ったり、Marcos Suzano みたいなちょっと型破りな感じの人なんかをおもしろいと思ってたんやけど、サンバをやりだしてから、「やっぱりサンバやな、パンデイロは」と思って(笑)。

Marcos Suzano


ばんどう サンバを始めて、パンデイロ作りにもちょっと影響を受けた感じやったね。それまではね、パンデイロって、にぎやかに「バーン」と鳴るっていうか、「にぎやかし」みたいな音を出す楽器かな、と思って音作りしてて。

でも、サンバをやるようになったことで、もうちょっと曲やその音楽の雰囲気にフィットするようなものを作らないといけないな、と思うようになってね。


──サンバのパンデイロを実際に叩き始めて、楽器の音作りという点で気づきや変化があったんですね。

1 2 3 4 5