

1. 「おもしろさ」の変化
2. 「サンバは、進化し続けている!」
3. ブラジル人との出会いと衝撃
4. 「続いてほしい」場のバランスとチューニング
5. 1ミリでもブラジルに近づきたい。
「サンバは、進化し続けている!」
──よしさんが歌われるきっかけになったアーティストとは?
よっしー Bezerra da Silva。もう、めちゃくちゃかっこよかったからね。自分の声の感じにも合いそうやな、と思って。
最初に聴いたのが「Malandragem dá um Tempo」って曲だったんだけど、「今まで聴いてた曲と全然違う!」って思って。パンクのようなラップのような、そんなふうに聴こえて。「うわ…かっこええな……」って。
それまでも曲はたくさん聴いてて、好きな曲もいっぱいあったんだけど、「自分が歌う」ってイメージがまったくつかなかったんすよ。声が出にくいってのもあるし、あんまり楽しいイメージがなかったんかな、自分が歌うってことに。それよりも、人が歌ってるのを太鼓で盛り上げたりするほうが、たぶん楽しかったんやと思う。
──でも、Bezerra da Silva に出会って、「歌ってもいいかな」という気になった。
よっしー ところが、やりたいと思ったのはいいんだけど、これがめっちゃくちゃ難しくて。歌詞長いし。
で、覚えるのに、結局半年かかったんすよ。
──半年!
よっしー でも、半年かけて覚えただけあって、今でもたぶん一番うまく歌えると思う。スラスラ出てくる。
そのころは、歌詞の内容もあんまりわからずに歌ってたんだけど、映像観てても、「なんかすげーヤバそうなこと歌ってそうだな、これ!」みたいな(笑)。そのへんも興味が惹かれたね。
で、半年かけて歌えるようになって、ビバラで歌ったんすよ。そしたら、パゴーヂに来てたブラジル人がみんな知ってて。で、すごいウケて。「おれ、ええの選んだな〜」って(笑)。やっぱウケると歌うの楽しいよね。
──そうですよね。
よっしー そこからちょっとずつ、Martinho da Vila とか Wilson Moreira とか、レパートリーを増やしていって。そのころは味のある感じの歌い手がすごい好きだったんすよ。
──一発目の歌がウケたことに味をしめて、歌われるようになったのが2段階目。3段階目はどのような変化でしたか?
よっしー あるとき、出町サンバの仲間の一人が、「これ、かっこいいっすよ」ってYouTubeの動画を教えてくれて。
ちょうどそのとき、自分のなかで「今現在、ブラジルではサンバってどういう存在なんだろう」っていうのが気になり始めてたタイミングで。
それまでいろいろ見聞きするなかで、サンバの存在はリオでは大きいけど、一部の大御所たちがクラシックな曲をショーで歌い続けている音楽っていうイメージが自分のなかにあったんすよ。
ところが、教えてもらった動画は、「Terreiro de Crioulo」ってホーダ・ヂ・サンバだったんだけど、たぶん30〜50代くらいの人たちが中心になって本格的にホーダを作ってて。
それを観て、「サンバって、流行りの波があったとしても生活の一部として根付いていて、すごい身近な存在なんやな」って感じたんすよ。
よっしー しかも、それがめちゃくちゃかっこよくて。サンバ・ハイスを中心にやってるんだけど、けっこう昔の曲を今の感じにアレンジして演奏してるのも聴くし、昔はそこまで注目されてなかった曲をあらためて演奏して光を当てることもやってるなぁと思って。
それに、自分はめちゃくちゃやられてしまって……「おれもこういうのやりたい〜!!!」ってなって、そっちに振り切ってしまったよねぇ。それが3段階目で、たぶん2018年くらいからだと思う。
──「サンバは一昔前のもの」というイメージを持っていたけれど、「そうではない」ということがわかった。
よっしー そうそう。今もブラジルで進化し続けてる。しかも、それがまためちゃくちゃかっこよかったんすよ、ほんとに。そこから自分の好みもちょっと変わっていって、Fundo de Quintal とかが好きになって。
そうしていろいろ深掘りしているうちに出会ったのが、Binho Sá っていう作曲家であり歌い手で。ぼくが今一番好きなアーティストっすね。
──どういうところが好きなんですか?
よっしー Binho Sá の曲が自分のツボにはまったんだよね。すごい楽しい感じの曲なんすよ。
あとは歌いまわしというか、歌詞のリズムの取り方っていうかな。めちゃくちゃかっこいい。「今までいなかったサンバの感じやなぁ」って思って。「同じ曲歌ってるのに、この人が歌うとすごいかっこいい」って個性を感じるというか……ことばで説明するの、ちょっと難しいねぇ……
──今までよしさんが聴いてこられたなかで、ぶっ飛んでるっていうか、飛び出てる感じ?
よっしー そうすね…「歌とリズムが一体になってる」って感じかもしれない。「全身でサンバやってる」みたいな。
──「こんなふうにやりたい」と思うモデル、めざす理想みたいな人なんですね。
よっしー そうだね。ホーダとしては、Terreiro de Crioulo をめざしたいし、自分としての憧れは Binho Sá だね。
