あこがれて、おっかけて──ブラジルの鼓動に触れるまで、サンバの熱に浮かされたい

1. 「おもしろさ」の変化
2. 「サンバは、進化し続けている!」
3. ブラジル人との出会いと衝撃
4. 「続いてほしい」場のバランスとチューニング
5. 1ミリでもブラジルに近づきたい。

「続いてほしい」場のバランスとチューニング

──出町サンバについてもう少しお聞きします。よしさんはわりと長い間、お店との調整や日程の告知、SNS からの問い合わせ対応などを担われていますよね。「あの場を維持する役を買ってらっしゃるな」というのがわたしの印象ですが、一般論として場を維持することはそんなに簡単じゃないと思っています。その観点でよしさんがどのように感じたり考えたりされているのかを、ずっとお聞きしてみたいと思っていました。


よっしー とくに悩んだりとかはないけど、工夫や心がけは一応してる感じすかね。


まずはやっぱり、「パゴーヂの開始時間にプレーヤーがいる」っていう状態がベストというか、そうでないと続いていかないだろうな、とは思うんで、できる限りオープンと同時に入るようにはしてますね。

時間に人が来ない、集まりが悪くて音も出さずに帰ったことも以前はあって、そういうのが続くとやっぱり人が減ってっちゃうんで。なので、「開始と同時に人がいる」ってことがすごい大事だなって思うから、そういう努力…努力ってほどじゃないけど、心がけはしてるかな。


──「開始と同時に自分がそこにいよう」と思って、実際にやり続けてらっしゃるのはなんでだろうな、と思います。


よっしー さっきの「仲間と楽しみたい」「ブラジル人に来てほしい」って話とつながると思うけど、自分がやっぱその場をちょっと楽しみにしてるところがあるんじゃないかな。


──自分自身が「その場があってほしい」と思う。


よっしー 「続いてほしい」っていうね。

ブラジル人もそうだし、ブラジル人に限らず、すごいサンバの好きな人が遠くから遊びに来てくれたときに、「あれ、ないやん」「出町サンバ、やってへんやん」って。そういうのにはならないほうがいいなぁと思うんすよね。

よっしー やっぱりね、バランスが大事っていうか。かかわってる人らが、みんななんかしら「いいな」って思わないと、成り立っていかないじゃないですか。


たとえば、ビバラって場所のことを考えてみても、「(出町サンバ)毎回やってるけど、全然人来ないし」みたいな状態になってもね……ちょっとでも人が来たら、お店での飲食も増えるし。そういうバランスのもとに成り立つんじゃないんかなと思うんすよね。

たまたま来た人が「また来たいな」と思えたり、「行ったらすごい盛り上がってたな」とか「すごい場所やな」とか。そういう状態の方が、やっぱいいじゃないですか。その、「いい方向にまわっていく」よね。


でも、なにもなくしてたぶんそれは無理だと思うんで。だから、なんていうか、自分のできる最低限のことをやってる、というか。べつにぼくは弦(楽器)が弾けるわけでもないから、ぼくだけいてもあまりパゴーヂにならないかもしれないけど、ある程度出町サンバによく来てるだれかがいるっていうだけでちょっと違うかな、ってのはやっぱあるんで。


──それを有言実行されるのはシンプルにすごいと思います。


よっしー 決してぼくはリーダーでもなんでもないし、ただの「出町サンバに来てる人」だけど、来た人にちょっとでも「このホーダの一員として一緒に楽しく過ごせた」って思って帰ってもらったほうがいいかなって。歌う人が来てくれたら歌ってもらえるように振るとか、初めての人が来たらちょっと声かけてみるとかね。

べつに善意でやってるとかじゃなくて、自分にとってもそのほうが楽しいだろうから自分のためにやってる面もあるんだけど。


──そこにいる人がみんな気持ちよく帰っていったらいいなと思いながら、できることをされているんですね。


よっしー その場を続けていくためにはそういう方向性のがいいなっていう感じすね。より広がりがあるというか。

出町サンバに来る人たちは個性的な人が多いと思っているので、その意味でも調整していくほうが、場がいいほうにまわっていくだろうなって。「チューニング」だな。


──チューニング。それ、使わせてもらいます(笑)


よっしー 「出町サンバのチューナー的存在」とか(笑)

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