

1. 「おもしろさ」の変化
2. 「サンバは、進化し続けている!」
3. ブラジル人との出会いと衝撃
4. 「続いてほしい」場のバランスとチューニング
5. 1ミリでもブラジルに近づきたい。
1ミリでもブラジルに近づきたい。
──音楽活動のなかで、よしさんが大切にされていることはありますか?
よっしー 音楽を通じた人との出会いっていうのは、やっぱり大事にしたいなと思いますね。みんながみんなと仲良くってのは難しいかもしれないけど、やっぱりこの歳になって共通の趣味で一緒に楽しめるって、なかなかないじゃないですか。そういう出会いは大事にしたいなぁと。
あと、音楽面では、ぼくは 1ミリでもブラジルに近づきたくて。オリジナリティもアレンジもとくに求めてなくて、とにかくブラジル現地のパゴーヂに憧れてる。
「今のブラジルのサンバシーンのような演奏をやりたい」と思い始めた3段階目と並行して、最近は「パーカッショニストとしてやっていきたいな」っていうのが出てきてて。
それまではパゴーヂをやるのがなによりも楽しかったんだけど、それもやりながら、パーカッショニストとしてもチャレンジしてみたい。まだまだそれができるレベルではないけど。

──それは、どういう心境の変化なんですか?
よっしー タンタンをずっとやってたところから、いろんな楽器に手を出して、去年はスルド、その前はヘピキ・ヂ・アネウを買ってて。
タンタンって最初から最後まで叩いてリズムキープする役割だと理解しているんだけど、アネウやスルドって「曲に味付けできる楽器なんかなー」って思ってるんすよ。現地の動画を観てたら、曲中のいいところで入れていいところで抜いてるから、そんなふうに演奏できたらめちゃくちゃかっこいいなーって。そういう楽器をやり始めたことで、「抜き差しによってその場を盛り上げる」みたいなところに、これまでとは違うおもしろみを感じたんじゃないかなぁ。
だから、これまでパゴーヂがメインだったけど、ライブもやっていきたいなと思ってて。パゴーヂはいろんな人が来てどういう展開になるかわからないおもしろさがあると思うけど、ショーとしての「ライブ」っていう、もうちょっとかっちりと決まった編成でやるほうが、「曲の味付け」が効果的に見せられるかなって。
──そうすると、パゴーヂよりライブに力を入れていきたい?
よっしー どっちか選べって言われたら、ぼくはホーダのがたぶん好きだと思う。いろんなキャラの人が集まってわいわいやるのが楽しいから。だから、両方バランスをとりながらやっていきたいなって。
1人でこちょこちょ練習するのがめちゃくちゃ好きなんで(笑)。練習してるとちょっとずつできるようになってくるから、できればその成果を見せられる場が作れたらいいなと思って。ライブとして型やゴールを決めてやるっていうのも練習になるし、そこで得たことをまたホーダの場で活かしたいとも思うからね。

──「1ミリでもブラジルに近づきたい」とおっしゃっていました。ブラジルへは、このあいだの夏で4回目とお聞きしましたが、今後ブラジルで演奏することもめざしていらっしゃるんですか?
よっしー それが意外とないんすよね……ブラジルで演奏するにはまだまだ自分の実力が全然だと思ってるので。
「ブラジルで演奏」って言ったとき、自分がこれまで見たことのある人たちって凄腕の人ばかりだから、そこで自分が演奏してるイメージって全然つかないんすよ。「あんな場でようやらんわ」って。きっともっと庶民的なね、そのへんのおっちゃんらが集まってやるようなのもあるかもしれんから、そういうのあったらやってみたいなと思うけど。
たぶん、自分の憧れがすごいから、「ちょっと思い出作りにやらせてもらいます」みたいなこともできない。もし万が一ブラジルで一緒に演奏させてもらえたとして……想像ついちゃうよね。「おぅ、日本人なのにやるじゃないか〜」とか、きっと言ってくれるじゃないですか、優しいから。でも、それって全然なんの意味もないことで。自分にとっては。
だから、今の時点ではそれが目標じゃないっすね。
憧れのパーカッショニスト Alex Almeida さんとともに。リオデジャネイロにて
よっしー でも、今後、日本でブラジル人のグループと一緒に演奏してみたいっていうのはある。めちゃくちゃ興味ある。それでも、パーカッショニストとしてやるには、やっぱり自分の実力が全然追いついていないなって思ってて。
だから、同じような想いの人たちと集まって練習会したりもしてます。ちょっとでも学びたくて。今まではサンバのグルーヴばかりに興味があったけど、プレーヤーとして必要なことも押さえたいから、今はリズムキープを徹底するとか、裏拍に惑わされずに叩くとか、リズムに強くなるための練習をずっとしてる。
──「ステージを1つ作る」という全体を考えたときのパーカッショニストとしてのあり方、みたいなところを学んでいきたい。
よっしー ブラジル人グループに限らず、演奏にパーカッショニストとして参加したりもしてみたいし、ホーダでもパーカッショニストとしてその場の音楽全体をよくするような存在になりたい、というのはありますね。
あくまで、自分と向き合ってる感じすね。
──自分と向き合ってる感じ。
よっしー できるだけ質を上げていきたいとは思ってます。自分がめっちゃ練習して、「このかっこいいキメ、どや〜!」みたいな。ちょっと注目されたい願望もあるからね(笑)。
だから、自分からいろんな人を巻き込んで「でっかいお祭りやろうぜ」みたいなのは全然ないんですよね。内弁慶だし、能力的にも無理だなって。身近な人たちとわちゃわちゃするのが好き。もちろん呼んでもらうのは嬉しいですけどね(笑)。
──ご自身のパーカッションに向き合いながら、仲間とのパゴーヂも楽しんで、出町サンバを続ける工夫も大事にされているというのが両立していて、おもしろいなと感じました。

──最後に、よしさんにとって一連の音楽活動はご自身の人生でどのようなものでしょうか?
よっしー いろんな要素があるよね、ほんまに。自分が楽しむためのもの、コミュニケーションの手段、仲間作りの方法、ストイックに追求する時間や事柄……
べつの言葉で言えば、夢中になれるもの。ないことは考えられない、現時点では。
つまり、「生活の一部」ってことかなぁ……練習してるのは「日常」だと思うけど、ホーダの場は「非日常」にも感じるけどなぁ……
──なるほど。
よっしー 「楽しいからやってる」としか言いようがないな(笑)。ほんと。楽しいと思えなくなったらやめると思うし。
すべてにおいて、楽しいから。練習するのも、パゴーヂするのも。「このグルーヴって、こうちゃうか?」とか考えるのも好きだし。もうサンバやブラジルにまつわることが、とにかく楽しいからやってる。
──以上(笑)
ほんとそうだもん(笑)。「楽しみ」か。「お楽しみ」だな(笑)
──今日お話をおうかがいして、「ブラジルのサンバに近づきたい」という願望と、よしさんにとっての「おもしろさ」の一連の流れを感じました。
よっしー たしかに、今日話してていろんなことがつながった。ブラジル現地のサンバに近づきたいのは、 Terreiro de Crioulo に出会って今のブラジルのサンバシーンにめちゃくちゃ惹かれたっていうのはあるけど、実はそのずっと前に、ビバラでブラジル人に出会ったことがぼくの原点だったんだなぁってあらためて思い出した。
──そこが原体験。そう考えると、とても長い間、ブラジルを想い続けてるんですね。
(オワリ)
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※インタビュー内の写真はよっしーさんより提供いただきました。
