波と音楽を追いかけてたら、サンバが流れこんできた

1. Gloria Estefan との出会い
2. 押し寄せるサンバが連れてきた世界
3. ”浮き沈み”の「波」に乗る
4. スタジオが、とにかく楽しい。
5. 「俺は、サンバだぜ。」


スタジオが、とにかく楽しい。

──橋本さんがサンバを続けてこられるなかで、あけみサンバはどのように始まったのでしょうか。


はしもと 「サンバやりたいやりたい!」ってあっちこっちに行ってるうちに、ちょっとずつカバコも弾けるようになってきたから、調子に乗って、「バンドせえへんか」って声かけたのよ。メンバーを一人、また一人って誘っていってスタートしたのが、「あけみサンバ」。ビバで初ライブやってね。それが10年くらい前かな。


そっから年1, 2回はライブして、コロナのときにはPVを作ったりもして、なんやかんやずっと活動してますね。

──コロナ禍に出されたあけみサンバさんの動画は、ホクホクしながら観ていました。


はしもと 「ライブもできんし、なんかしたいな」ってなってね。あれはあれで、おもしろかったよね。


──観てる側としてすごくおもしろかったのですが、たぶんやってるみなさんが楽しんでいらっしゃるように感じていました。

はしもと 楽しかったね。「Sonho meu」「Dizem que o amor」「Nas escritas da vida」とかね。ああいう活動ができるのは、あけみサンバがすごくメンバーに恵まれてるというか、それぞれがみんなおもしろいからだと思うよね。

スタジオにて撮影された「Sonho meu」


──本当に。ライブにお邪魔したこともありましたが、パフォーマンスというか「お客さんを楽しませるもの」としての出来上がり感が、ライブだけでなくて告知のチラシに始まり、撮影された動画なんかも含めて、「この作り込みが毎回なされてる、っていうのが本当にすごいな」と思っていました。


はしもと それが楽しい。


──楽しいんですか。


はしもと もう、そこが楽しい。ライブは集大成としてあるけど、もうスタジオ入ったら楽しくて。「これ、こうやったほうがおもしろいんちゃう?」とか、そういうのが次から次へと出てくる。ほんまはね、もっとスタジオ入りたいけどね。

だから、やってる方が楽しんでる。それが、ほんまに続いてる秘訣やと思うよ。おもんないスタジオ練習ないもんね。

──そうなんですか!

はしもと おかげさまでね。だから、スタジオでの練習が楽しすぎてワーワーなるから、「はい、じゃ、次これやろうか」とか、俺のほうで声かけてね。一応まとめ役というか、そこは自分の役だなと思ってて。みんなも、そこは俺の役やと認識してるんとちゃうかな。音楽的なところとか、セットリストの案、曲の案なんかは、他のメンバーが詳しかったりするし、みんなそれぞれに好みもあるから、「どっから出てくるの、この曲?!」みたいなのも出してくれたりして。おもしろいよね。

──みんなで役割分担をされている。


はしもと それぞれなってるね。みんながみんなちゃんと役割があって、だから欠けられないって感じやろなぁ。だから、そんなメンバーで集まれてるのは、ほんまに奇跡というか。なかなか続かへんよね、そういうのって、ほんま。

──そう思います。

はしもと 自分でもけっこうほかの人のライブに行くからさ、そこでのライブ構成が参考になったり、新しい曲を知ったりするやん。そういうのもあけみでのライブに活かしたりするよね。いろんなとこでいろんなものを見るのは必要やと思うし、そやって行くことが集客にもつながるしね。

行ったら、「こっちはこんなんやってるよ」みたいなことも言えるし、もしこっちの演奏も観てもらえたら、その人にとって、まぁ刺激になってるかどうか知らんけど、そういうのもあると思うし。

だから、あけみサンバのメンバーも、わりと新しいこといろいろやりたいって思ってるよね。


──そういえば、昨年、橋本さんはフルートを始めたとおっしゃっていました。 


はしもと もう2年ぐらいかなぁ。初めは、あけみで演奏する Cartola の「O mundo é um moinho」にフルートを入れたかったのね。だから、「この曲だけやりたいんです」って先生に習いに行って、そっから何曲か吹けるようにはなってるけど、この間の9月のライブが終わってから一切吹いてないんで、「これやばいな」って(笑)。練習できる曲を探さな、と思ってる。

前奏や歌の合間に入るフルートが美しい。


──たしか以前にも笛をされていらっしゃったって。

はしもと 篠笛やっててね。フルートとは、実際は口元も全然違ってんねやけど、まったく笛が初めてってわけではなかったね。もっとちゃんと武器にしたい、って思うけどね。


──すごい武器だと思います。


はしもと この間ね、クラベリトでフルート吹いたとき、あっこって、ものすごい音がまろやかで、吹いてて「ものすごいええ音や」って感じて。でも、場所が変わると、同じ曲を吹いてても、全然違うんよね。

会場が広いと、自分の吹いてる音が返ってこないっていうのもあると思うけど、たぶん、それで自分に力が入るのかな。ほんならライブ後に録音聴いたら、一応鳴ってはいたけど、息が抜けてる音がつねにスースー鳴ってる。力んでしまったからなのか、そういうのもあるね。その場、その場で音が違う。


──でも、ライブって、きっとそういうものかもしれないですよね。場所だったり、そのときの自分のコンディションとかも影響する。

はしもと だから、あけみサンバでカバコ弾いてるときは全然緊張せえへんけど、フルートだけはもう手が震えて、「息できん〜〜!」みたいになるのよ(笑)


──そうなんですか!


はしもと すごいで(笑)。ほんまに、毎回そやで。


──お客さんからはたぶん見えていないと思うんですけど、ご本人は「違うな」って感じていらっしゃるんですね。 


はしもと もう本番は全然違う。ま、それもいい経験なのかもね。そういう、イチからというか、初心を思い出すっていうか。

初めて俺がカイピリーニャでソロライブをやったとき。そのときはギターとカバコとウクレレで、10曲ぐらいやったのかなぁ。もうリハから緊張しまくって、震えて震えて。で、本番に、一番練習した曲すっ飛ばしたもんね(笑)。やったつもりになっちゃって。それぐらい舞い上がった。「え、この曲やった?やってないやん!」みたいな(笑)。今フルートは、それぐらい緊張する。

そういう刺激があったほうがいいのかもしれないけどね。

──たしかに、いろんな意味で自分を振り返ったり、新しいところに行くきっかけになるかもしれませんよね。



はしもと あと、デンパゴに行けば、DENさんが「今のはどうや」とか言ってくれる。やっぱり先生というか師匠がいるというか。だから、「次はこうしていこう」とか思えるし、そうやってデンパゴに力を注いで行ってるから、まだ多少更新していけてるんじゃないかな。

──「アップデート」ということですかね。


はしもと アップデートはしたいですね。していかなあかんなと思うね。言うてあんまやってへんけど(笑)。もう、夜ビール飲んだらすぐ眠たなるもんね。


──ここまでのこの歴史があって、それをふまえて、でもやっぱりいつでも終わりじゃなくて。まだまだ続いていく、ってことですよね。


はしもと そうよね。だから、あけみサンバもみんな生きてる間は続くと思うし、たぶんずっとみんなでやっていくんじゃないかなぁ。ほんまにいろいろやってくなかで、そういうね、仲間がいるっていうのは非常に嬉しくてね。おかげさまで。


──それはわたしも、出町サンバに参加するようになってずっと思いますね。

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